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小鳥(ことり)

Author:小鳥(ことり)
指差し指されの人生も、独りじゃ出来ない人の興。良も不良も時々に、白でも黒でも無いと知る。「人ではじまり、人に終わる」 ただそれだけの事。

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  • 25-4 夫婦の実寸

「 そろそろだけど大丈夫け?」

「 あぁ、俺はいつでも・・」

テーブルに座ってから一時間程になる"葵"から声が掛かり、肘を付いて横になっていた"小鳥"は上体を起こした。

"葵"は置き鏡を前にして化粧に集中していて、こんな時は語り掛けてもまともな返事が来る確率は極めて低い。

気の抜けた相槌かスルーを定番にする"葵"にそれ以上を求めようものなら、

「 ちょっとうるさい!」

と言われる事はすでにわかっていて、"小鳥"は二口程吸ったたばこを灰皿に置くと着替えに取り掛かった。
10代の時に着ていた遺物を掘り返そうものなら、

「 何でそんな格好するでぇ・・ 一緒に歩きたくないんだけど・・」

"葵"が買ってくれた服をチョイスすれば、

「 いいじゃん、いいじゃん・・」

かぶれた時代のジャージならば、

「 まっいいか・・」

出掛ける格好に対する"葵"の反応もすでに知っていて、着替えに要する時間は少なかった。

"葵"は、テレビにコテコテの強面が映る時、

「 かっこいい・・」

などと反応を示し、散髪代を気にした末の"小鳥"のオールバックは受けが良く、要するにやや悪い感じのする男が好みだった。

"小鳥"はある時、"葵"の指摘に抵抗を覚え、

「 俺って良いトコどこもねぇみてぇだな・・ 足は臭いし、糞は臭いし、顔はでかいし無愛想だし・・」

いじけた少年の様な台詞を漏らした事があったが、

「 何言ってるで"リー(小鳥)"ちゃん・・ 全部本当の事だっちことぉ・・ 他人は心で思っていたってさぁ、誰も面と向かっては言ってくれないだよ?自分の旦那がそんな風に思われて影で笑われてたら困るから、言いたくない事だってアタシは言うよ・・」

"葵"に真顔でこう言われると、

( なるほど・・ )

妙に納得してしまい、それ以来、流行も気分も無く、ただただ"葵"が認める格好をする様になっていたのである。

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