FC2ブログ
QLOOKアクセス解析

プロフィール

小鳥(ことり)

Author:小鳥(ことり)
指差し指されの人生も、独りじゃ出来ない人の興。良も不良も時々に、白でも黒でも無いと知る。「人ではじまり、人に終わる」 ただそれだけの事。

出版書籍













全記事表示リンク

ブログランキング



ブログランキング
にほんブログ村 小説ブログへ

Infomation

  • 26-3 驚きの勘違い ( 前編 )

「 ありがとうございましたぁ~」

「「「 ありがとうござい・ま・ま・したぁぁ~」」」

最終のお客様を見送ると、

「 では"黒井(小鳥)"さん、撤去台のガラスを抜いてもらえますか?」

「 はい・・」

"竹本"主任からの指示で作業を開始して間も無く、

「 "黒井(小鳥)"さん、新台を運びますので手伝ってもらえますか?」

「 はい・・」

ガラス抜きを途中にして"竹本"主任と一緒に出た駐車場では、箱車のトラックが店舗入り口のすぐ近くに停まっていた。

「 ごくろうさまです!」

運転席に"竹本"主任が声を掛けると、

「 どうも~」

慣れた感じの運転手が降りて来てトラックの観音扉を開いた。

( おぉ・・ )
箱の中にはパチンコ台が立った状態で綺麗に並んでいて、箱に乗り込んだ運転手は、木枠の上部を繋ぐ様に打ち付けられていた木材を手馴れた感じで外し始め、

「 "黒井(小鳥)"さん、新台を倒さない様に中まで運びましょう!」

「 は、はい・・」

運転手が送り出して来る台を、

「 よいしょっ!」

"竹本"主任に続いて担ぐと、

( うおっ!)

思った以上に重く、何度か繰り返しているうちに額には汗が吹き上げていた。

店内の端のスペースに静かに並べては外へ戻りと繰り返しているうちに、

( 何で皆で運ばねぇんだ?)

横切る島端からは、余裕の表情で撤去台を外しに掛かっている"西村"と、"小鳥"が途中にしたガラス抜きを代わりに行っている女性スタッフが楽しそうに会話をしている姿が見えていた。

しかし役割分担とは、一所に偏る事無くそれぞれが必要数に分かれて完了に到達する為の手順を無駄無く滞り無く、最短でこなそうとする手法であり、この時の人員配置が不適当であったかと言えば、おそらくは適当であった。

当然の事ながら初の入れ替え作業で感情的に物申す訳にもいかず、結局は"竹本"主任と二人で何往復も重ねて新台を運び込み、

「 では"黒井(小鳥)"さん、次は台のカギをウチの店のカギに変えましょう・・」

「 はい・・」

ガラス抜きに戻る事無く次なる作業へと移った。

カギを変えるとは大事になる予感が漂ったものの、実際はマスターキーと呼ばれるカギをシリンダーに差込み、シリンダーに付いている小さなポッチを押し込みながらグルッと回して引っこ抜き、そして店の台カギをズボッと挿入してグルッと回し、ポッチがポキンッと飛び出せば完了という至ってシンプルな作業だった。

しかしそのシンプルな作業によって、さっきまでまるで機能しなかった台カギがいきなり機能し出す様には、

( うわぁ・・ )

思わず感心していた。

「 どうですか? びっくりしちゃいますよね?」

「 はい、勉強になりましたぁ・・ ありがとうございます・・」

明るい笑顔で無理強いの無い"竹本"主任に感謝の言葉を抵抗無く出す一方で、

( ば~かば~か・・ )

"小鳥"は視界に入り込む"西村"には心中罵りを繰り返していた。

もしもこの時、ただ単に"西村"を嫌ってそうしていたならば問題は"小鳥"にあったに違いないが、"小鳥"には"西村"を嫌うべきちゃんとした理由があった。

それは遡る事どれ位だったか、

「 "黒井(小鳥)"さぁ~ん、早く俺の右腕になれる様にがんばってもらわないと・・」

「 えっ?」

「 だからぁ、俺も下が育ってくれないとぉ、主任になれる実力があってもさぁ、なかなかなれない・・ みたいな?」

「 はぁ・・」

「 じっさい"竹本"主任が休みの時に変わりをやらされてぇ? なのに給料は変わらない?みたいな?」

「 そうっすよねぇ・・ それは一理ありますねぇ・・」

「 だろ?」

( イラッ )

「 そうっすねぇ 」

「 っていう事でヨロシクッ!」

「 はい、がんばります・・」

それはたまたま被った休憩でのワンシーンでしか無かったが、

" 一事が万事 "

ささいな端端に出てしまう本質とでも言うか、話している時のいやらしい微笑みひとつ、その言葉のトーンひとつ、どこか人を見下している様な、若しくは自分に酔いしれている様な、客を前にしても必要以上に自信にみなぎる姿の核が見えてしまった様だった。

( まるで人を道具の様に・・ )

「 あなた・・ 馬鹿ですか?」

と率直にぶつけてあげれば良かった台詞も、駆け出しの保身を計れば腹の中に押し込めてしまったのだが、その後、"甘党"マネージャーや"砂糖"サブマネージャー、そして"長嶺"部長などの大幹部に対しての二面性までもはっきりと知ってしまえば、例え"西村"がいくら涼しげに小奇麗な制服をまとっていても何かとてつもなく薄汚い生き物に見えてしまい、惚れたり尊敬する類では無くなっていたのである。

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

   管理者にだけ表示を許可する