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小鳥(ことり)

Author:小鳥(ことり)
指差し指されの人生も、独りじゃ出来ない人の興。良も不良も時々に、白でも黒でも無いと知る。「人ではじまり、人に終わる」 ただそれだけの事。

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  • 29-3 ちくしょう

翌朝目を覚ますと"葵"はすでに台所に立っていて、

( ほっ・・ )

いつも通りである事に安心して起き出した"小鳥"は、

「 おはよう・・」

「 おはよう・・」

「 どうで? 具合は良くなったけ?」

「 う、うん・・」

少し躊躇した"葵"の顔色は良いとは言えず、しかもいつも通りを裏切るかの様に、家事をこなす動きは何かをかばう様に重々しかった。

「 痛むけ?」

「 うん、背中の辺りがだるいっていうか何か鈍く痛むっていうか・・」

「 ほいじゃぁ病院に行ったほうがいいら、顔色もあんま良くねぇし・・」

「 ううん大丈夫、夕べ眠れなかったから、ちっと疲れてるだけ・・」

「・・・」

表情を少し歪めて動く"葵"の痛々しさに、それを解消してやれぬもどかしさに、ただ無言で佇んでいると、

「 "リー(小鳥)"ちゃんが出掛けたら日中横になってるから大丈夫だっちことぉ・・」

"葵"は苦く笑い、

「 あぁ・・」

としか言えなかった"小鳥"は、取り敢えずはいつも通りに出社に向けて支度に取り掛かった。

夜のバイトをしていた頃、

「 "リー(小鳥)"ちゃんが働いてくれてるのに、アタシが寝て待ってる訳にはいかない・・」

そう言っていた"葵"を思い出した"小鳥"は、自ら寝て待つと口に出すという事はよっぽどの事態なのだと理解して、

( 俺は何をいい気になっていたんだ・・ )

"葵"の健気な部分を完全に見失い、粗探しばかりをしていた自分に気付く事となった。

「 "イー(葵)"ちゃん、もしもひどくなるようだったらすぐに電話よこせし・・」

「 えっ 」

"葵"は驚いた様な表情を見せ、

「 早退して病院に連れてくから・・」

と言うと、

「 う、うん・・」

いつもより弱弱しくとも、確かな微笑みを見せた。

喧嘩ばかりで嫌になっていたはずの共存が急にとてつもなく大切なものに思えるリアリティは、まるで面のひっくり返りの様に、とっくに消えてしまったと思っていた愛情が変わらず存在していた事を知らしめた。

「 じゃぁ、行ってきます 」

「 うん、気を付けてね 」

「 あぁ・・」

穏やかな二人になれたこの時、

( ちくしょう・・ こんな事にならんきゃ気付かないなんて・・ )

"小鳥"は深い所から自身を責めて反省をするのだった。



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