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小鳥(ことり)

Author:小鳥(ことり)
指差し指されの人生も、独りじゃ出来ない人の興。良も不良も時々に、白でも黒でも無いと知る。「人ではじまり、人に終わる」 ただそれだけの事。

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  • 29-9 酔い果てて尚・・

「 ただいまぁ・・」

・・・

台所で調理の音を奏でながら、

「 おかえり 」

と返す"葵"は居なくて、真っ暗に出迎えられる帰宅は久しぶりの一人暮らしに戻った様でも、その寂しさは大きかった。

電気も付けず、真っ直ぐに冷蔵庫を開けてビールを取り出した"小鳥"は、

" プシュッ "

あの日の"葵"の様に、

" ゴクゴクゴク・・ "

一本目を一気に流し込み、二本目を取り出した時にはそのままその場に座り込み、うな垂れて無口に日常を放棄するのだった。
空きっ腹に流し込んだアルコールが頭を揺らし始めると、

「 神様、どうかお願いします・・ "イー(葵)"ちゃんを助けちゃくれませんか?」

「 どうしてこんなに次々と・・ 真面目に生きてみたって良い事ねぇって信じられるかい?」

「 アイツが何かしたのかい?」

「 わからねぇから出て来てくれよ・・」

「 おぃ! おぃ! おいっ!」

「 やるなら俺にしろよ!」

無理に繕った明るさの後の反動かどうか、誰にも知られぬ空間で酒の力を借りて見えぬ相手にすがったりあおったりした挙句、

「 ちくしょう・・ ちくしょう・・ ちくしょう・・ ははっ・・ へっ! どうにも出来ねぇや・・ 糞が!」

自分の無力さを痛感すると、だらしなく砕けて潰れていた。

( ん? やべ!)

大の字で迎えた翌朝は、"葵"を見舞う使命感が真っ先に思考を占拠して、慌てて出社の準備に取り掛かったが、とにもかくにも、こんな酒の飲み方は"小鳥"にとって初めての事だった。


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