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小鳥(ことり)

Author:小鳥(ことり)
指差し指されの人生も、独りじゃ出来ない人の興。良も不良も時々に、白でも黒でも無いと知る。「人ではじまり、人に終わる」 ただそれだけの事。

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  • 33-2 妹と呼ぶ男

「 もしもし、今から帰るよ 」

「 うん、あのさぁ"リー(小鳥)"ちゃん、さっき"ロン"ちゃんから電話があってさぁ・・」

「 ん?"ロン"って、あの留置所に面会に行った人け?」

「 うん 」

「 出て来ただか?」

「 うん、とっくだってよ、まっそれはいいだけど、"リー(小鳥)"ちゃんと酒が飲みたいから帰って来たら連絡くれって言われててさ 」

「 はっ?山梨にいるだけ?」

「 うん、今どっかで飲んでるらしいだよ、"リー(小鳥)"ちゃんも明日仕事だからって言っただけど、どうしても今日が良いって言うからさ、"リー(小鳥)"に聞いてから連絡する事になってるだけど大丈夫け?」

「 あぁ、俺はかまわんけどウチに来るだと?」

「 うん、そうみたい・・」

「 ほっか、まぁ今からだと20分位で着くから連絡してみろし・・」

「 わかった、ごめんね?」

「 何言ってるで、"イー(葵)"ちゃんを妹みたいにかわいがってくれた人ズラ?断る理由はねぇさよぉ・・」

「 うん、ありがと じゃぁ気を付けてね 」

「 あぁ・・ 」
"葵"と同棲を始めてから何時位の時だったか、突然、"葵"の実家にこの"ロン"という男から手紙が届いた事があった。

その事を母親から知らされた"葵"は、手紙を持ち帰った夜に、

「 ねぇ、"リー(小鳥)"ちゃん、昔っからの知り合いで妹みたいにかわいがってくれてた人がさぁ、福生市の留置場から手紙をよこしたさぁ・・」

と"小鳥"に告げた。

そして、

「 ん? つかまってるだか? まぁそれはいいけど何だと?」

と"小鳥"が尋ねると、

「 まぁ、読んでみて・・」

とその手紙を差し出し、"小鳥"は手紙に目を通す事になった。

「 拝啓、妹よ、元気か? 俺は元気だ 」

その内容は、聞いてもいないのに自分が元気であると伝える事から始まり、

「 妹よ、会いたい・・」

と締め括るものだったが、お世辞にも綺麗とは言えない文字に飾りの無い本心を読み取った"小鳥"は、

「 面会に行くじゃん・・」

と即座に言い、

「 えっ? "リー(小鳥)"ちゃん、行ってくれるだけ?」

と、"葵"をやや驚かせもしたものだった。

福生市と言えば東京都に属し、そこまでの道中は普段の行動範囲と比べれば遠出に値したが、この時の"小鳥"に損得の勘定は働かなかった。

そして迎えた対面の時、アクリル板で仕切られた向こう側に現れたのは、ずんぐりむっくりのいかにも凶暴そうな、自然界に例えを探せば熊とも言える40代半ばの男だった。

しかしアクリル板を挟んで向かい合って座った"葵"を見るこの男の目は優しくて、一室の隅で立ったままその様子を傍観していた"小鳥"を捉えた時も、その目は喜んでいる様に映ったのだった。

留置場に収監されていた男となれば、一般的には警戒心を持たなくてはいけない相手かもしれなかったが、そんな印象を残していた男がわざわざ自分と飲みたいと言ってくれた事に対して、"小鳥"はむしろ喜びを抱いて帰路を急いだのだった。

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